ポイントを利用して福利厚生を選択する「カフェテリアプラン」。
従業員が自由に福利厚生メニューを選択できるこの制度は、多様化する働き方やライフスタイルに対応する新しい福利厚生として注目を集めています。
この記事では、カフェテリアプランの特徴やメリット、課税上の注意点まで詳しく解説します。福利厚生制度の見直しを検討中の企業様は、ぜひ参考にしてください。
福利厚生のポイント制度「カフェテリアプラン」の特徴
カフェテリアプランとは、従業員それぞれが自分のニーズに合わせて、ポイントの範囲内で自由に福利厚生を選択できる制度です。カフェテリアプランの特徴は、以下の通りです。
- ポイントに基づいた個別カスタマイズができる
- 企業のイメージアップにつながる
- 予算管理がしやすい制度である
下記でそれぞれ解説します。
ポイントに基づいた個別カスタマイズができる
カフェテリアプラン最大の特徴は、従業員一人ひとりが自分に合った福利厚生を選択できる点です。
企業があらかじめ用意したメニューの中から、従業員は付与されたポイントの範囲内で自由にサービスを選択できます。
従来の一律型の福利厚生では、従業員のニーズに合わない場合や、利用されないサービスが発生してしまうケースもありました。しかし、カフェテリアプランであれば、従業員は自分のライフスタイルや価値観に合わせた福利厚生を選択できます。
企業のイメージアップにつながる
カフェテリアプランの導入により、従業員だけでなく、求職者や取引先など、企業に関わるステークホルダー全体に対するイメージアップにもつながります。
現代において、福利厚生は従業員の働きやすさや満足度を向上させるための重要な要素として認識されています。
充実した福利厚生制度を導入している企業は、従業員を大切にしている企業として、ポジティブなイメージを持たれやすくなるでしょう。
予算管理がしやすい制度である
カフェテリアプランは、あらかじめ従業員に付与するポイントの上限を設定します。そのため、福利厚生にかかる費用を事前に予測し、予算内で運用することが可能です。
従業員数×年間付与ポイント(+月会費 × 12カ月※)=年間予算上限
※福利厚生代行サービスを利用している場合は月額利用料が発生
カフェテリアプランのメリット3選
カフェテリアプランは従業員と企業側、双方にメリットがあります。主なメリットとして下記の3つが挙げられます。
- 従業員の満足度アップにつながる
- 人材の定着率アップが期待できる
- 企業の福利厚生コストの効率化できる
詳しく解説します。
従業員の満足度アップにつながる
カフェテリアプランは従業員自身が自分に必要な福利厚生を選択できるため、満足度アップにつながりやすいメリットがあります。
例えば、子どもがいて毎日慌ただしく過ごしている従業員は育児サービスの利用費に、スキルを高めたい従業員は資格取得やビジネススクール受講料の補助などにポイントを使うなど、多様なニーズに対応可能です。
また、サービスの利用傾向を把握することで、企業は従業員のニーズを理解でき、福利厚生制度の改善を図れるようになります。結果として、従業員は「会社に自分のことを考えてもらえている」と感じ、企業へのエンゲージメントやロイヤリティも向上するでしょう。
人材の定着率アップが期待できる
充実した福利厚生制度の整備は、人材の定着率向上に大きく貢献します。近年では転職が一般的になり、人材の確保が難しくなっています。企業はあらゆる施策を行い、優秀な人材を惹きつけ、定着率を高めていかなければなりません。
従業員のライフステージやニーズに合わせた福利厚生を選択できるカフェテリアプランは、従業員一人ひとりの満足度を高め、定着率向上に大きく貢献します。
特に、若年層や育児中の従業員、働き盛りで単身赴任中の従業員、キャリアを積んだものの介護離職を余儀なくされそうな従業員の定着率向上が期待できます。
企業の福利厚生コストの効率化できる
カフェテリアプランの導入により、企業は福利厚生コストを効率化できます。
従来の一律型福利厚生は全従業員に同じ内容を提供するため、利用しない従業員が出てコストの無駄が生じていました。
一方、カフェテリアプランは従業員が必要とするサービスを選択できる制度のため、無駄なコストを削減し、福利厚生費を効率的に活用できます。
また、各福利厚生メニューの利用状況を数値で把握できるのもメリットです。
集めたデータをもとに人気のある福利厚生サービスを強化したり、利用率の低いサービスを見直したりすることで、従業員満足度と費用対効果の向上が期待できます。
カフェテリアプランのデメリット3選
カフェテリアプランは多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、主な3つのデメリットについて解説します。
- ポイントの有効期限や利用制限がある
- 全ての従業員が利用できない可能性がある
- 選択肢が多すぎる場合従業員が混乱する可能性がある
それぞれ見ていきましょう。
ポイントの有効期限や利用制限がある
カフェテリアプランにおけるポイント制度には、一般的に有効期限が設けられています。また、付与されているポイントを使い切ってしまえば、次にポイントが付与されるまで福利厚生は利用できません。
これらの制限は、従業員にとってはデメリットとなる可能性があります。忙しさのあまり有効期限を逃してしまったり、希望するサービスに対して十分なポイントが割り当てられていなかったりする場合、不公平感を訴える従業員もいるでしょう。
選択肢が多すぎると従業員が混乱する可能性がある
自由にサービスを選択できるメリットの裏には、選択肢が多すぎて従業員が混乱してしまうリスクもはらんでいます。例えば、比較検討に時間がかかって決断できなくなったり、選択後に「別の選択肢の方がお得だった」と後悔したりするかもしれません。
企業は適切な選択肢と十分な情報提供により、従業員が自信を持って選択できる環境を整える必要があります。
導入するコストがかかったり管理が複雑だったりする
カフェテリアプランの導入には、コストがかかります。ここでいうコストは、費用だけでなく人的コストを含みます。例えば、システム構築やシステムメンテナンスの作業リソース、担当者の人件費、サービスの運用費などが必要です。
管理面では、ポイント付与・管理の煩雑さ、多様なメニューの運用・更新、税務処理の複雑化といった課題があります。これらの問題に対処するためには、段階的な導入や外部委託、定期的な見直しなどの対策が効果的です。
カフェテリアプランの課税について解説
カフェテリアプランで提供する福利厚生は、内容によって課税・非課税に判断されます。具体的な条件は、以下のとおりです。
| 福利厚生の目的から外れている | 福利厚生として適切な内容でない、また常識を逸した内容・金額の場合は課税対象となる |
| 全従業員に対して平等ではない | 役職や報酬額によって付与されるポイントが異なる場合は全て課税対象となる |
| 現金支給・換金性がある | 現金支給や商品券、チケットなどの換金性のあるものは課税対象となる |
以下で具体例を挙げていきます。
カフェテリアプランのサービスが課税対象となるケース
カフェテリアプランのポイントが課税対象となるのは、以下のケースです。
・娯楽用のチケット購入代
・日用品や家電製品などの購入代
・旅行やレジャー施設の利用代金
・業務に関係しない自己啓発セミナーの受講
参照:カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合|国税庁
カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合|国税庁
これらのケースでは、ポイントの金銭的価値が給与所得として扱われ、課税対象となります。
カフェテリアプランのサービスが非課税対象となるケース
カフェテリアプランにおいては、従業員が平等に受けられるものかつ換金性がなく、福利厚生として妥当な内容・金額であるサービスは、非課税となる可能性があります。
具体的なケースは、以下の通りです。
・インフルエンザの予防接種や人間ドックの受診
・業務に必要な資格取得のための講座受講費用
・介護保険適用の居宅介護サービス利用
・在宅勤務の際に必要なインターネット通信費
・企業が契約している施設を利用した場合の一般料金と割引料金の差額
参照:カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合|国税庁
カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合|国税庁
税務申告時の注意点
カフェテリアプランにおける税務申告では、従業員へのポイント付与やサービス利用に関する情報を適切に記録・管理することが重要です。
特に、課税対象と非課税対象のサービスを正しく区別して処理する必要があります。もし、課税対象のサービスを利用したのに非課税と申告した場合は、罰則として「不納付加算税」が課されるため注意が必要です。
不納付加算税は、通常未納税額の10%ですが、税務署からの指摘前に自主的に修正申告を行えば5%に軽減される場合があります。
なお、課税・非課税の判断は、本店所在地の所轄税務署の税務官によって最終決定されます。地域によって違いが生じる点に留意してください。
カフェテリアプランを福利厚生として導入する手順
カフェテリアプラン導入は、事前準備からシステム導入、運用開始まで、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、一般的な導入手順をご紹介します。
ステップ1│目的とニーズの明確化
ステップ2│プラン内容と予算の決定
ステップ3│システムの導入と社内告知
専門業者への相談も検討しながら、自社に最適な形でカフェテリアプランを導入しましょう。
ステップ1│目的とニーズの明確化
カフェテリアプラン導入の第一歩は、目的とニーズの明確化です。
なぜ自社にポイント制度が必要なのか、従業員にとってどのようなメリットがあるのかを具体的に検討しましょう。
導入目的を明確にする際には、例えば「従業員満足度の向上」「人材の定着率向上」「福利厚生コストの削減」など、カフェテリアプラン導入によって実現したいことを具体的に設定します。
従業員のニーズを把握するには、年齢層やライフステージ、家族構成といった属性によって異なる福利厚生ニーズを考慮する必要があります。例えば、若手社員にはスキルアップ支援、子育て世代には育児支援、シニア層には健康増進といったように、それぞれのニーズに合った福利厚生を検討しましょう。従業員アンケートや意見交換会などを実施し、生の声を収集するのも有効な方法です。
導入目的と従業員のニーズを明確化することで、企業側と従業員側、双方にとってメリットの多いカフェテリアプランを設計できます。
ステップ2│プラン内容と予算の決定
カフェテリアプラン導入における最も重要なステップが「プラン内容と予算の決定」です。
自社の従業員にとって魅力的なプランを構築し、かつ、企業側にとっても無理のない予算設定を行う必要があります。
予算は、ポイント付与額、福利厚生メニュー、予想利用率などを考慮して設定しましょう。福利厚生メニューは従業員のニーズを把握したうえで、健康増進、スキルアップ、自己啓発、リフレッシュなど、多様なカテゴリから選択できるようにすると、従業員満足度が高まります。
例えば、以下のようなサービスが考えられます。
| 健康増進 | フィットネス利用、健康診断のオプション追加、人間ドッグ、予防接種補助、リラクゼーション |
| スキルアップ | 資格取得講座の受講、各種スクール受講、書籍購入 |
| 育児・介護 | 施設・サービス利用料、各種用品購入 |
| 生活支援 | 社員食堂、昼食代補助、各種保険 |
| リフレッシュ | 旅行費用、テーマパークチケット、レジャー施設 |
予算と福利厚生メニューを考慮し、無理のない範囲で従業員の満足度を高められるようなプランを目指しましょう。
ステップ3│システムの導入と社内告知
カフェテリアプランを導入するにあたって、運用を効率化するためのシステム導入も検討しましょう。
システムの導入により、ポイントの付与・利用状況の管理、従業員への情報発信などをスムーズに行えるようになります。導入するシステムを選ぶ際には、自社の従業員規模や必要な機能を考慮して選ぶことが大切です。
システム導入後は、従業員向けにカフェテリアプランの内容や利用方法について、分かりやすく説明する必要があります。説明会の実施やマニュアルの配布などを通して、従業員がスムーズに制度を利用できるように丁寧にサポートしましょう。
システム導入と社内告知を適切に行うことで、カフェテリアプランをスムーズ運用できるようになり、従業員の福利厚生制度の満足度向上につながります。
カフェテリアプランを展開しているサービス3選
カフェテリアプランを導入する際、自社で一から構築するのは大変な労力がかかります。ここでは、人気の高いカフェテリアプランサービス3つをご紹介しますします。
| miive | ベネフィット・ステーション カフェテリアプラン | リロクラブ | |
| サービス内容 | カフェテリアプラン導入・運用 | カフェテリアプランの導入・運用 | カフェテリアプランの導入・運用 |
| こういう方におすすめ | ・楽にカフェテリアプランを導入したい | ・実績豊富な企業にサポートしてほしい・カフェテリアプランの運用に不安がある | ・カフェテリアプランの導入から運用まで手厚くサポートしてほしい |
| 初期費用と運用費用 | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ |
| 対応可能業務サポート体制とアフターケア | 制度の運用から見直しまでをオールインワンで管理できる | 現状把握~分析・改善 | 現状把握~分析・改善 |
| 満足度と利用率 | 月間利用率:92%継続率:99%2022年版選出:すごいベンチャー100 | – | – |
| 導入実績 | – | 導入企業法人:17,427社法人会員数:1,613万人※2024年4月時点 | – |
miive

| サービス内容 | カフェテリアプランの導入・運用 |
| こういう方におすすめ | ・とにかく楽にカフェテリアプランを導入したい・自社で運用したい |
| 初期費用と運用費用 | 要問合せ |
| 対応可能業務 | 制度の運用から見直しまでをオールインワンで管理 |
| 満足度と利用率 | 月間利用率:92% 継続率:99% 2022年版選出すごいベンチャー100 |
| 導入実績 | – |
miiveはカードとアプリを組み合わせた福利厚生サービスです。企業は目的に応じて専用のポイントを付与し、従業員はmiiveカードで決済するだけ。面倒な管理工数を最小限に抑えた、スムーズなカフェテリアプランの運用を実現できます。
全国200万店舗以上のVISA加盟店から福利厚生を自由にカスタマイズできるので、従業員のニーズに応えた設計ができるのも強みです。とにかく“楽に”カフェテリアプランを導入したい企業におすすめのプラットフォームといえます。
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ベネフィット・ステーション カフェテリアプラン

| サービス内容 | カフェテリアプランの導入・運用 |
| こういう方におすすめ | ・実績豊富な企業にサポートしてほしい・カフェテリアプランの運用に不安がある |
| 初期費用と運用費用 | 要問合せ |
| 対応可能業務 | 現状把握~分析・改善 |
| 満足度と利用率 | – |
| 導入実績(ベネフィット・ステーション全体) | 導入企業法人:17,427社法人会員数:1,613万人※2024年4月時点 |
ベネフィット・ステーション カフェテリアプランは、豊富な実績に基づくコンサルティングを実施しているサービスです。経験豊富なスタッフがプラン設計から運用までをフォローしてくれるため、福利厚生制度の運用に関する企業担当者の手間を大幅に削減できます。
カフェテリアプランはもちろん、あらゆる福利厚生サービスを提供しているため、導入後の方針転換がしやすいのもメリット。福利厚生の最適な形を探っていきたいと考えている企業に適しています。
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リロクラブ

| サービス内容 | カフェテリアプランの導入・運用 |
| こういう方におすすめ | ・カフェテリアプランの導入から運用まで手厚くサポートしてほしい |
| 初期費用と運用費用 | 要問合せ |
| 対応可能業務 | 現状把握~分析・改善 |
| 満足度と利用率 | – |
| 導入実績 | – |
リロクラブは、カフェテリアプランの導入から運用コンサルまで、手厚いサポートを強みとしている会社です。例えば、導入時は現状の確認と課題の洗い出しを行い、福利厚生の見直しからサポートしてくれます。
10万以上のサービスのなかから自社に合うカフェテリアプランを提案したり、分析・改善を繰り返して最適化したりしてくれるのも魅力。カフェテリアプランの適切な運用で、従業員満足度を向上させたい企業におすすめのサービスです。
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まとめ│福利厚生のポイント制度「カフェテリアプラン」を導入しよう
カフェテリアプランは、従業員の多様なニーズに応える柔軟な福利厚生制度です。導入のメリットは以下の通りです。
一方で、デメリットや課税上の注意点もあるため、慎重に検討する必要があります。スムーズな導入・運用にあたっては、カフェテリアプランを提供する各種サービスを比較検討し、自社に最適なものを選択することが重要です。
カフェテリアプランの導入・運用は、従業員のモチベーション向上や企業競争力の強化につながります。
福利厚生の見直しを検討中の企業は、ぜひカフェテリアプランの導入を視野に入れてみてはいかがでしょうか。










