「女性社員が安心して長く働ける職場を作りたいけれど、どんな福利厚生が本当に必要なのか?」と悩んでいませんか?
家賃補助や健康サポート、育児休暇など、女性社員のニーズに応える福利厚生は、会社のイメージアップや優秀な人材の定着にもつながります。
この記事では、企業が導入すべき女性に人気の福利厚生とその具体例や導入メリットについて解説します。
ぜひ最後まで読んで女性社員が安心して働き続けられる環境づくりにぜひ活かしてください。
1. 女性が福利厚生を重視する理由
女性の暮らしはお金がかかりやすいため
安全面を考慮すると、女性の生活には通常よりもお金がかかりがちです。たとえば、賃貸物件を探す場合、
- 2階以上の階層
- 駅チカ
- オートロックつき
といった条件が重視され、家賃が高くなる傾向があります。
Aさん(20代女性)
「女性で1人暮らしの場合、安全面からオートロック付きの物件はもちろんですが、覗かれたり、付きまとわれたりしないよう、2階以上で駅から近い物件を選ぶと安心ですね。」
このように、女性の生活にはセキュリティ面での配慮が必要となり、それに伴う費用がかさみやすい状況があるため、女性は福利厚生を重視します。
暮らしの変化に対応できるため
出産・育児など、女性はライフイベントに伴う生活の変化が多いです。そのため、働き方も柔軟に変えていく必要があります。内閣府によると、
生産年齢の女性には、結婚、出産・育児、配偶者との死別・離別、家族の介護と、多くのライフイベントを迎える可能性がある(2013: 第1段落)
とあり、女性には生活の変化が多いと分かります。
したがって、女性が働き続ける上で、福利厚生はライフイベントに柔軟に対応できる重要な仕組みと言えます。
健康的な課題を軽減するため
女性は体の特徴から、健康に関していくつかのリスクを抱えやすいです。
株式会社LIFEM(ライフェム)によると、働く女性は人生のステージごとに様々な健康問題に直面します。たとえば、
- 生理に伴う不調が原因で、仕事の効率が下がる
- 不妊治療のために仕事を辞めざるを得ない
- 更年期の症状で、仕事の生産性が下がる
などなど。
また、経済産業省の調査によると、これらの健康問題に対処していなかった女性が、適切な情報を得て治療を受けることで、2025年には年間「約2兆円の経済効果」が生まれることが分かっています(2024: 10-11)。
このように、福利厚生を通して女性が抱える健康課題を軽減することは、キャリアの継続に結びつきます。
安心できる環境で働ける
福利厚生が充実している企業は、女性にとって「安心して相談できる職場」として認識されやすいです。
とくに、産休や育休といった制度を利用する際、会社からお休みをいただくことに引け目を感じてしまう方はいらっしゃいます。
そういった仕事の休みを申し出る際に引け目を感じる方は、上司などに相談しやすい職場環境を求めます。
その点で、福利厚生が充実している企業は、込み入った相談がしやすく、「働きやすい環境が整っている」と良いイメージを持たれます。
2. 女性に人気の福利厚生を導入するメリット
採用・育成コストの効率化
女性に人気の高い福利厚生を導入することで、採用・育成コストの効率化ができます。
まず、福利厚生が充実していることで、女性はプライベートを大切にしながら仕事を継続できます。
たとえば、帝国データバンクの意識調査によれば、女性活躍における課題として「家庭と仕事の両立のしづらさ」が唯一の5割越えでした(2024: 第2段落)。
このような女性活躍における課題を乗り越えることで、離職率の低下につながります。
つぎに、女性の離職率の低下は、採用・育成コストの効率化になります。
採用活動には、求人広告費、選考にかかる時間やリソースがかかり、採用後の研修にもコストがかかります。その点で、女性が長期にわたって定着することは、採用・育成コストが効率化できます。
このように、女性が長期的に働き続ける環境を整えることは、結果的に採用・育成コストの削減につながり、企業にとって大きなメリットとなります。
企業のイメージ向上
福利厚生の充実によって、女性がキャリアを継続する環境をつくることで、企業のイメージ向上につながります。
内閣府の調査では、第一子を出産後に職場を離れる女性の割合は46.9%にのぼり(2018: 1)、多くの女性がキャリアを中断せざるを得ない状況です。
これに対し、キャリアを継続できる福利厚生を整えることで、離職率の低下につながります。
そして、離職率の低下は「働きやすい企業」として外部からの評価を高めることができます。
さらには、離職率が低いことで、優秀な人材にとっての魅力的な就職先となり、採用活動の好循環が生まれます。
企業の持続的な成長
女性のキャリア支援は、企業の持続的な成長につながります。
女性が長期的に働くことで、昇進・昇格を重ね、企業役員などの重要なポジションで活躍するケースも増えます。
こうした女性を経営陣として迎え入れることは、多様性を高め、外部からの企業イメージ向上につながります。
実際に、日本を含む46か国・約3000社を対象にした調査では、取締役会における女性割合が高い企業ほど株価パフォーマンスが高いことが明らかになりました(2023: 16)。
これは、株主をはじめとする外部からの支援を強化し、企業の持続的な成長を後押しします。
3. 女性に人気の高い福利厚生の具体例
住宅に関する制度
上記で「女性は家賃が高くなる傾向」と説明したように、女性に住宅手当は特に人気があります。家賃は手取りの3分の1もしくは4分の1であることが目安とされており、生活費の大部分を占めます。そのため、家賃を負担する福利厚生は、暮らしの大きな助けになります。
たとえば、
- 住宅手当
- 社員寮
が挙げられます。ただし、手当が発生するための条件が企業によってそれぞれ異なるため、確認が必要です。
休暇に関する制度(育児・介護の短時間勤務など)
ここでいう休暇制度とは、法律で定められている休暇以外に取ることができる特別休暇を指します。たとえば、
- バースデー休暇
- リフレッシュ休暇
があります。たとえば、女性特有の体調不良により、お休みが必要なことがあります。その時、「休むことで周りに迷惑をかけてしまう」と気負いせずに休みを取ることができます。むしろ、休暇をしっかりと取ることで生産性が上がり、仕事の質もあがります。
食事に関する制度(栄養バランスを考えたオフィスカフェの導入)
この制度は、社員の食費の一部を負担する仕組みのことです。例として、社員食堂の提供やオフィスカフェの導入などがあります。食費にかかる平均割合が「生活費の27%」ですので(総務省 2024)、毎日のランチ代が数百円安くなることは支出を抑える点で重要です。たとえば、
- 栄養士監修の社員食堂
- オフィスカフェでのお菓子・コーヒーの無料提供
- ランチ代の一部負担
があげられます。
出産や育児に関する制度(パートナーも利用できる育休制度)
出産や育児は重要なライフイベントの一つであり、会社のサポートが強く求められます。出産や育児が始まると、生活の大部分を占めるため、労働時間を減らすのはもちろんのこと、会社と育児の密接な連携が必要です。
出産や育児に関する制度は以下があげられます。
- 産休、育休
- 企業内保育所
- 妊娠、育児相談窓口
健康に関する制度(定期健康診断、メンタルヘルスサポート)
健康を維持することがライフプランを築く上では重要です。企業が法律で義務付けられている「定期健康診断」はもちろんのこと、企業が行っている制度として、
- 健康促進プログラム
- メンタルヘルスサポート
があげられます。「健康的な生活を過ごすことが大切なのはわかっているけど、1人だとなかなかできない」という方でも、健康に関する福利厚生があることで健康の維持ができます。
スキルやキャリアアップに関する制度
「キャリアアップをしたい」、「スキルを高めて市場価値を高めたい」方をサポートする制度です。たとえば、
- リーダーシップ開発プログラム
- 資格取得支援制度
- 1on1制度
などがあります。
リモートワーク制度
リモートワークとは、自宅やカフェなど好きな場所で働く制度のことです。会社への通勤時間がないため、「満員電車に乗らなくてすむ」や「仕事が終わったらすぐ家事に取り掛かれる」などのメリットがあります。他にも、
- フレキシブル制度
- 週休3日制度
などがあります。
4. 女性に人気の高い福利厚生を導入できるサービス7選
ベネフィットステーション
株式会社ベネフィット・ワンが提供する、ベネフィットステーションは、グルメ、レジャー、ショッピングに加え、
- 育児
- 介護
- 引っ越し
などのライフイベントに関わるものまで140万件以上のサービスを優待価格で利用できる総合福利厚生サービスです。
最近では、Netflixがセットになったプランなどが用意されています。
ルナルナオフィス
株式会社LIFEM(ライフェム)が提供するルナルナオフィスは、働く女性の健康課題である
- 月経
- 妊活
- 更年期
について総合的に支援するサービスです。企業の全社員を対象とした、職場環境のチェックや、専門医による啓発支援・婦人科による受診機会の提供を行っています。導入した企業の従業員満足度は92%を獲得しています。
実際、株式会社ニチレイの導入事例では、「啓発後、すぐに婦人科をオンライン受診できた点に魅力を感じた」、「健康経営が実現できた」との声をいただいています。
チケットレストラン
チケットレストランは、株式会社エデンレッドジャパンが提供する食事補助サービスです。特徴としては、
- 全国25万店舗以上で利用できる
- ランチが実質半額
- 内勤、外勤など勤務環境問わず公平に利用できる
となります。
OFFICE DE YASAI(オフィス でやさい)
OFFICE DE YASAIは、株式会社KOMPEITO(コンペイトウ)が提供する、健康的な食事が届くサービスです。特徴は以下の通りです。
- オフィスでいつでも好きな時に健康的な食事ができる
- 従業員は1つ100円から手軽に購入可能
- 冷蔵庫を設置して、そこに届いた商品が保存される
- 株式会社日産自動車や名古屋銀行などが導入しており、サービス継続率は98.4%
となります。このように、普段の食生活をよりよくすることで、健康に一歩近づきます。
chocoZAPステーション(チョコザップステーション)
チョコザップステーションとは、株式会社RIZAPが提供する、従業員の健康増進の後押しとなるサービスです。特徴としては、以下のようなものがあります。
- 全国1.500店舗以上、24時間365日営業
- 軽い運動ができる
- セルフのエステや脱毛、ネイルなどの自分磨きができる
- 定量的な利用分析レポートで投資対効果も見える
オフィスおかん
オフィスおかんは、株式会社OKANが提供する、食事補助の福利厚生サービスです。管理栄養士が監修したお惣菜を販売しています。「ランチだと、コンビニで済ませることが多い」という方には、
- 一律100円で提供
- 冷蔵庫を使用した設置型
- 栄養バランスの取れた食事
が特徴のオフィスおかんを利用することで、お財布と身体にやさしい暮らしが送れます。
ライフサポート倶楽部
ライフサポート倶楽部は、株式会社リソルライフサポートが提供する、福利厚生サービスです。遊びから生活まで幅広く対応していますが、特に注目したいのが子育て支援・女性活躍支援です。たとえば、復職応援・託児所利用補助・育児用品などのサービスが割引価格で受けることができます。
5. 福利厚生が女性に人気の企業6選
ニトリ
株式会社ニトリは、家具・インテリア用品(ホームファニシング商品)の企画・販売を行う企業です。福利厚生は以下の通りです。
- 結婚休暇
- 育児休業
- 出産育児支援休暇制度
- 在宅勤務制度
- ジョブリターン制度
- 日祝託児費用補助制度
- 提携託児所の優待利用
他にも、介護制度など従業員の生活に合わせた仕組みがあります。
サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントはウェブ広告代理店の企業です。最近では、AbemaTVなどのメディア事業にも参入しています。福利厚生は以下の通りです。
- エフ休
- 妊活休暇
- 妊活コンシェル
- キッズ在宅
- キッズデイ休暇
- 認可外保育園補助
- おかち区ランチ
- パパママ報
などがあります。
サニーサイドアップ
株式会社サニーサイドアップグループ会社の経営管理などを行う企業です。32の制度が存在し、バリューに沿った制度がつくられています。福利厚生は以下の通りです。
- ファミリーホリデー休暇
- 誕生日休暇
- Dear WOMAN制度
- パートナーシップ制度
- スキルアップ支援制度
- サニー文庫制度
- 幸せは歩いてこない制度
ほかにも、キャッチ―な制度がさまざまあります。中には、失恋休暇制度(失恋したら会社を休んでも許される制度)があげられます。
ZOZO
株式会社ZOZOは国内最大級のファッションサイト「ZOZOTOWN」を運営する企業です。働き方が週2出社・週3リモート勤務(ビジネス部門)をはじめとする柔軟な働き方です。女性が注目したい福利厚生は以下の通りです。
- ZOZOコネ(オフィスや物流拠点の周辺の飲食店などで優待を受けることができる制度)
- 家族時短制度
- 家族手当
- ベビーシッター利用補助制度
他にも、セミナー・カンファレンス参加支援など、キャリアアップのための支援も充実しています。
楽天
株式会社楽天は、日本最大級のEコマースプラットフォーム事業をはじめとする、インターネット企業です。福利厚生は以下の通りです。
- 食事補助
- マザーズルーム
- 社内託児所
- ベビーシッター割引券
- 休職前、復職前セミナー
楽天における産休・育休後の復職率は、97%(2023年実績)であり、仕事と育児の両立に力を入れていることが分かります。
パソナ
株式会社パソナは人材派遣・人材紹介を主に展開している企業です。福利厚生は以下の通りです。
- ライフサポートコース
- ハローベビー休暇
- パソナファミリー保育園
- 復職プログラム
- IDOBATA会議
- ワンダーウーマン研修
他にも、女性社員に対する取組みを積極的に行っています。その結果、パソナは厚生労働大臣から、女性活躍推進に関する取り組みが特に優良な企業として、「えるぼし」の最上位である3段階目の認定を受けました。
まとめ
福利厚生は、女性が働き続けるために欠かせない制度です。この記事では、女性が福利厚生を重視する理由や、企業が福利厚生を導入するメリットを解説し、具体的な福利厚生サービスや充実した福利厚生を提供する人気企業をご紹介しました。
企業が人気の福利厚生を導入すれば、離職率の低下やコスト削減といった大きなメリットが期待でき、企業のイメージアップにもつながります。
また、会社員の方々にも、福利厚生の理解が深まることで、自分のキャリアや自己実現をサポートしてくれる企業を選ぶ際の参考になるはずです。
今こそ、福利厚生を見直し、女性が長く働ける環境を整えることが、企業の成長を後押しします。福利厚生の導入は、組織全体の活力向上にもつながりますので、ぜひ具体的なサービスの導入を検討してみてください。