優秀なチームを作りたい、働きやすい職場環境を整えたい。
そんな思いを持つ方に、ぜひ知っていただきたいのが「心理的安全性」という考え方です。1999年にハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱し、2015年にGoogleの調査プロジェクト「アリストテレス」によってその重要性が改めて証明された概念ですが、実際はどんな効果があるのか、どうやって高めれば良いのか、悩むことも多いのではないでしょうか？
最近、社員の意見が出にくくなってきた気がする…
チームの士気やパフォーマンスをもっと上げたい…
という方に、この記事では心理的安全性とは何か、その職場への影響やメリット・デメリット、さらに心理的安全性を高めるための具体的な方法について詳しくご紹介します。
ぜひこの記事を読んで、ぜひこの記事を読んで、チームの士気を上げて優秀なチームを作ってみてください。
そもそも心理的安全性とは？
心理的安全性とは、職場で自分の意見や考えを自由に話せる安心感のことです。心理的安全性が高い職場は、社員がより良い仕事をするための土台になります。
なぜ心理的安全性が必要なのか？
心理的安全性は、これからますます注目される大切な要素です。
その理由の一つは、労働改革が進む中で「少ない労働力で大きな生産性を実現する」という考え方が広がっているからです。
この流れは、少子高齢化が進む日本において特に重視されています。限られた人材を最大限に活かすために、能力を発揮しやすい環境が必要とされているのです。
心理的安全性が職場にもたらす4つの効果
心理的安全性がある職場は、働く人にとって心地いい場所になります。
安心して発言や行動ができると、職場の雰囲気も仕事の成果も良くなります。ここでは、心理的安全性が生み出す4つの大きな効果についてご紹介します。
1. みんなが自由に意見を出せる職場になる
心理的安全性が高いと、誰でも気兼ねなく意見を言えるようになります。上司や同僚を気にしすぎず、自分の考えを伝えられるので、会議や仕事中のコミュニケーションがスムーズになります。
これがきっかけで新しいアイデアや解決策が次々と生まれ、職場全体の活気もアップします。
2. 失敗を恐れずに新しい挑戦ができるようになる
「失敗しても大丈夫」という雰囲気があると、自然と挑戦する回数が増えます。失敗を責められる心配がないので、みんなが前向きにリスクを取ることができます。
結果として、新しい発見やイノベーションが生まれる環境が整います。
3. 困ったときに助け合えるチームになる
困ったときに「助けて！」と言えるのは、とても大事なことですよね。心理的安全性がある職場では、自然とお互いをサポートする雰囲気が作られます。みんなでフォローし合えるので、仕事がスムーズに進み、チームの結束力もグッと強まります。
4. 一人ひとりの考え方や価値観が大切にされる
心理的安全性のある職場では、誰もが「自分のままでいい」と感じられます。それぞれの考え方や価値観が尊重されるので、いろんな視点が活かされ、新しいアイデアがどんどん出てきます。
「みんな違ってみんないい」という空気が、チーム全体の力を引き出してくれます。
なぜ、心理的安全性が低い職場になってしまうのか？
一方で、心理的安全性が低い職場には、なんとなく「話しづらい」「動きづらい」空気があります。そんな環境では社員が本来の力を発揮しづらく、チーム全体の活気も失われがちです。ここでは、心理的安全性が低い職場にありがちな4つの特徴をご紹介します。
1. 意見やアイデアを言いにくい雰囲気
発言すると否定されそうな空気があると、社員は意見を口に出しづらくなります。会議が静まり返っていたり、何かを言おうとしても「どうせ無駄だ」と思ってしまうような雰囲気があるかも・・・と思ったら要注意です。
自由な発言ができないと、アイデアも課題解決も停滞してしまいます。
2. ミスや失敗を責める文化
「失敗したら怒られる」と感じる職場では、誰も挑戦しようとしなくなります。ミスを恐れて無難な道ばかり選ぶようになると、チームの成長も止まってしまいます。
また、失敗を責める空気があると、職場全体の士気もどんどん低下してしまいます。
3. 人間関係の信頼が希薄
「この人に相談しても大丈夫？」と感じてしまう職場は、心理的安全性が低い状態です。助けを求めることが難しくなると、業務効率が悪化したり、個々のストレスが増える原因になります。同僚や上司に気軽に頼れる雰囲気がないと、連携もうまくいきません。
4. 多様性や個性が尊重されない
社員の意見が軽く扱われる職場では、誰もが「自分なんて必要ないのかも」と感じてしまいます。同じ考え方だけが優先される環境では、新しいアイデアや改善案も生まれにくく、結果的に組織内でのやる気や競争もなくなっていきます。
心理的安全性を高めるための4つの具体的な方法
ここでは、心理的安全性を高め、チーム全体を働きやすくするための具体的な方法についてご紹介します。
1.話しやすい空間を作る（フレンドリーさ）
職場がピリピリした空気だと、社員同士の距離感が広がり、意見交換や相談がしづらくなります。特に忙しい時期や新人が入って間もない頃は、緊張感が高まりがちですが、こんなときこそ、雑談や気軽なやりとりができるフレンドリーな環境を意識して作ることが大切です。
忙しいときこそ、ほっとできる空間を作ることが大切！
ある職場で、年末の忙しい時期に社員たちはピリピリした雰囲気の中で仕事をしていました。新人のAさんは質問したいことがあっても、周りが忙しそうでなかなか声をかけられません。そんなとき、上司のBさんがランチタイムに「最近どう？困っていることがあったら教えてね」と声をかけ、雑談を交えながら話を聞く場を作りました。これにより、Aさんは相談しやすくなり、作業のミスが減り、業務がスムーズに進むようになりました。
具体的なアクション・セリフ例
- 「最近どう？何か気になっていることがあれば教えてね。」
- 「忙しいけど、今日は外でランチでもしようか。」
- 定期的に1対1のミーティングを設けて、質問や相談の場を提供する。
- 休憩時間に軽い雑談を挟み、リラックスできる雰囲気を作る。
- 社内イベントやカジュアルなオンライン交流会を企画してコミュニケーションの機会を増やす。
2.多様性を大切にする文化を育てる
一人ひとりの個性や背景を尊重する文化があると、社員が安心して自分らしく働ける職場になります。自分が理解できない意見や考え方でも、まずは受け入れてみることで、多様性を育てる一歩になります。社員に肩身の狭い思いをさせない職場を意識しましょう。
違いを受け入れ、強みに変える職場を作ろう！
Cさんは外国籍の社員で、時々会議での発言を遠慮してしまうことがありました。ある日、リーダーのDさんが「いろんな視点があるとアイデアが広がるから、Cさんの意見も聞きたいな」と声をかけました。この一言で、Cさんは安心して自分の考えを共有し、チームに新しい視点をもたらしました。
具体的なアクション・セリフ例
- 「このテーマについて、みんなの考えを聞きたいです。」
- 「いろんなバックグラウンドを持つみんなの意見が大事だと思います。」
- 社員全員が参加しやすい場を作り、発言を促す。
- メンバーの異なる考え方を尊重し、「理解できない＝否定」ではなく、「違いを楽しむ」姿勢を育てる。
- 意見を共有する場で、多様な視点を歓迎する文化を明確にする。
社員の挑戦を大切にする
挑戦を恐れず、新しいことに取り組める環境は、社員の成長と会社のイノベーションに直結します。ただ、挑戦を阻む「失敗したらどうしよう」という不安が、モチベーションを削ぐ原因になることも少なくありません。そんなときに大切なのが、失敗を恐れずに挑戦できる雰囲気や、「やってみたい！」という思いを尊重し、後押しする文化です。挑戦を大切にする職場では、社員一人ひとりが自分の可能性を試しながら、自信を深めることができます。
新しいアイデアがチームを活気づける
Eさんは新しいプロジェクトに挑戦したいと提案しましたが、「それよりも既存の仕事を優先して」と言われることが続き、次第にモチベーションを失いかけていました。そんな中、マネージャーのFさんが「この挑戦、やってみたいんだね。じゃあ、私も手伝うよ！」と支援を申し出ました。Eさんは再びやる気を取り戻し、プロジェクトが成功してチーム全体に新たな活力をもたらしました。
具体的なアクション・セリフ例
- 「そのアイデアいいね！どうやって進めるか一緒に考えよう。」
- 「たとえ失敗しても、それが学びになるから大丈夫！」
- 挑戦したい社員の意見を尊重し、サポートする仕組みを作る。
- 小さな成功体験を積ませ、挑戦をポジティブな経験にする。
- 挑戦に対する失敗を許容し、反省よりも学びを重視する姿勢を示す。
上司が部下をフォローしたり、助け合える環境を作る
助け合いの精神が根付いた職場は、社員一人ひとりが安心して働ける環境になります。特に上司が部下をフォローし、同僚同士ではサポートし合える仕組みがあると、心理的安全性が大きく高まります。こうした環境では、社員がプレッシャーを感じずに業務に集中でき、結果としてチーム全体のパフォーマンス向上につながります。
困っている社員をみんなで支える
Gさんは仕事が詰まってしまい、締め切りが迫る中で困っていました。しかし、忙しそうな上司Hさんには声をかけられず、一人で抱え込んでしまいます。それを見た同僚Iさんが「大丈夫？何か手伝えることがあれば言ってね」と声をかけました。その後、Hさんも「Gさんの状況を教えてくれてありがとう。手伝える部分があれば言ってね」とサポートを申し出ました。結果的に、Gさんはプレッシャーから解放され、パフォーマンスが向上しました。
具体的なアクション・セリフ例
- 「何か困っていることがあれば教えてね。」
- 「この部分は私が引き受けるから、今やっていることにまず集中してみて。」
- 定期的にチームメンバーの状況を確認し、フォロー体制を整える。
- メンバー同士のサポートを奨励し、互いに気遣える文化を育てる。
- 「一人で抱え込まないでいい」ことをはっきりと伝える。
心理的安全性を高める要素を作り上げることは、上司やリーダーの役割です。フレンドリーな空間、多様性を尊重する文化、挑戦を支援する姿勢、そして助け合いの精神を大切にすることで、社員が安心して働ける職場を作っていきましょう。
【リクルート・Google】心理的安全性を高めた成功事例
ここでは、心理的安全性を高めるトレーニングや施策を行うことで、職場の雰囲気や働き方が大きく改善された企業の取り組みをご紹介します。
リクルートの心理的安全性向上の取り組み
リクルートが心理的安全性に注目した背景
リクルートは、多様な従業員が増えたことで、価値観の違いを埋める必要が出てきました。そのため、「心理的安全性」を重視し、従業員が働きやすくなる環境づくりに力を入れています。
主な取り組み
社内メールマガジン「WOW通信」
- 内定者や役員、チームの成果を紹介し、コミュニケーションを活性化させる。
「今月の調子さん」
- 従業員が自身のコンディションを共有する取り組みで、相互理解を進める。
ピアフィードバック
- 同僚同士でフィードバックを行い、それを全員が見られる形で公開。安心感を高め、質の高いフィードバックを可能にする。
OKR（目標管理ツール）の活用
- 高い目標を設定し、挑戦する文化を作る。
効果
- 社員が失敗を恐れずチャレンジできる環境を実現できた。
- フィードバックの質が向上し、社員の成長を後押しできた。
- 経営陣と社員が直接意見交換できる場を設け、課題解決がスムーズになった。
Googleの「プロジェクト・アリストテレス」と心理的安全性向上への取り組み
「プロジェクト・アリストテレス」の概要と背景
Googleが2012年から取り組んでいる「プロジェクト・アリストテレス」は、チームの生産性を高める要因を解明するための研究プロジェクトです。
このプロジェクトで、Googleはチームの成功に最も大きく寄与する要素が「心理的安全性」であると発見しました。
そこで、Googleは職場に心理的安全性を根付かせるための施策を本格的に開始しました。
主な施策
gTeamsワークショップ
-アンケートでチームの課題を可視化し、改善点を話し合う場を提供する。
リーダーシップトレーニング
-マネージャーが心理的安全性を高める行動スキルを学び、チームの信頼感を強化する。
ピアフィードバック
-フィードバックを公開する仕組みで、社員同士の理解と信頼を深める。
心理的安全性をテーマにした社内イベント
-社員全体が心理的安全性について考え、実践するきっかけを作る。
効果
- 社員が安心して意見を言える環境が生まれ、アイデアが出やすくなった。
- 失敗を恐れない文化が広がり、社員の「挑戦する姿勢」が定着した。
- 信頼関係が強化され、チーム全体の生産性が向上した。
【社員の本音を引き出せる！】心理的安全性を実現するツール3選！
【社内のコミュニケーション強化を目指すなら】Kakeai
Kakeaiは、職場で上司と部下のコミュニケーションをサポートするツールです。
このツールは、1on1ミーティングの質を高めるためのヒントを提供し、話すべきトピックや質問例を提案することで、会話がスムーズに進むようにします。
また、進捗管理機能も備えており、目標の設定や達成状況を確認できるため、部下の成長をサポートしてくれます。
| 料金 | 要お問い合わせ |
| メリット | ・1on1ミーティングで話すべきトピックや質問例を提示し、対話をサポート・対話内容やフィードバックを分析し、組織全体の課題を見つけてくれる |
【エンゲージメント向上を目指すなら】Wevox
Wevoxは、企業が社員のエンゲージメントを測定し、職場環境の改善をサポートするツールです。定期的に調査を行うことで、組織の健全度を可視化し、従業員の満足度を高めるアイデアを考えられます。
| 料金 | 月額利用料：50,000円～（規模や機能に応じて異なる） |
| メリット | 設問がシンプルで回答率が高く、短時間で社員の声を収集できる ・データ分析がわかりやすく、マネジメントに活かしやすい |
【社員のモチベーションを可視化したいなら】ラフールサーベイ
引用元：https://www.lafool.co.jp/service/survey/
ラフールサーベイは、社員のメンタルヘルスや職場環境についての情報を簡単に収集・分析できる福利厚生サービスです。職場の改善点や社員の満足度を把握することで、チームのパフォーマンス向上を目指せます。
| 料金 | 初期費用：100,000円（税込）～ 月額利用料：従業員数に応じたプラン設定（要お問い合わせ） |
| メリット | サーベイ結果をリアルタイムで分析し、具体的な改善策を提案してくれる ・匿名性を重視しているため、社員が安心して回答できる |
まとめ
この記事では、心理的安全性とは何か、その職場への影響やメリット・デメリット、さらに心理的安全性を高めるための具体的な方法についてご紹介しました。
心理的安全性とは、「自分の発言や行動が否定される心配がない状態」を指します。この考え方は、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授によって提唱され、主にチームや職場の環境で注目されています。
近年、働き方改革が進む中で「少ない人数で高い成果を出す」ことが求められています。特に少子高齢化が進む日本では、効率よく働くために、職場環境を整えることが必要とされています。
心理的安全性が高い職場は、社員が自由に意見を言えて、失敗を恐れず挑戦できる場所です。困ったときに助け合える雰囲気や、それぞれの価値観を大切にする文化があると、職場に活気が生まれ、成長につながります。
反対に、心理的安全性が低い職場では、意見を言いづらかったり、失敗を責める空気が広がりがちです。信頼関係がなく、多様性が尊重されない環境では、社員のやる気が下がり、チーム全体の勢いも失われてしまいます。
そこで、心理的安全性を高めるには、信頼関係を築いたり、意見を大切にする文化を作ることが大切です。たとえば、たとえば、いつもより少し丁寧に話を聞いたり、気軽に「ありがとう」と伝えるだけでも、周りの雰囲気が変わることがあります。
毎日の中で「これならできそう」ということを取り入れるだけでも、職場の居心地はどんどん良くなります。
心理的安全性を高めるための取り組みは、必ずしも大きな変革やコストを必要とするわけではありません。まずは、簡単に始められることから取り組んでみてください！
