近年、新卒の3年以内の離職率が高いことが問題になっています。厚生労働省のデータによると、新卒の約30%以上が3年以内に会社を辞めているという結果が出ており、辞めやすい業界には共通した特徴があります。
そこで

新卒の定着率を上げたい・・・!



社員が満足して長く働き続けるためには、どんな取り組みが必要なの?
そんなあなたに、この記事では新卒が3年以内で辞めやすい業界トップ5やその理由、離職率が高いと企業にどんな影響があるのか、また、離職率を下げるための4つのコツについても詳しく解説します。ぜひこの記事を参考に、職場の改善や社員の定着率アップに役立ててください。
離職率とは?基本の考え方と注目されている背景
そもそも離職率とは
離職率とは、ある期間内に会社を辞めた人の割合を示す数字です。企業が職場環境や働きやすさを評価するときによく使います。
計算は簡単で、「その期間に辞めた人の数」を「その期間の平均の社員数」で割り、100をかけてパーセントで表します。
例えば
1年間で20人が退職して、平均従業員数が200人なら、
離職率 = (20 ÷ 200)× 100 = 10%
つまり、この会社では1年間で10%の人が辞めたことになります。
なぜ離職率が注目されているのか
離職率が注目されるのは、会社の「職場環境」や「働きやすさ」を示す大切な指標だからです。離職率が高いと、社員がストレスを感じやすかったり、働く環境があまり良くないことを示しています。
一方で、離職率が低い会社は、「社員が満足して働くことができている」と見られ、外部からも良い評価を受けやすくなります。多くの会社は、社員のやる気を高める取り組みや、良い福利厚生を提供して、長く働いてもらえるようにしています。
新卒が3年以内で辞めやすい業界TOP5
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、令和3年3月に卒業した大卒者で、3年以内の離職率が高かった業界TOP5は以下の通りです。これらのデータから、業種ごとの傾向が見えてきます。
1.宿泊業・飲食サービス業:48.7%
宿泊業や飲食業は離職率が特に高い業界です。例えば、ホテルでは繁忙期に朝から深夜まで働くことが多く、観光シーズンには休みが取れないこともしばしば。レストランもランチやディナーのピーク時は特に忙しく、休憩時間が短くなりがちです。さらに、接客でのクレーム対応が多く、ストレスがたまるのもこの業界の特徴です。
また、給与が低いことも離職率が高い理由の一つです。2023年のデータによると、宿泊業・飲食業の平均年収は268.2万円で、全体の平均である457.6万円と比べて大きく下回っています。そのため、「この仕事は割に合わない」と感じる人が多く、結果としてすぐに辞めてしまうことが少なくありません。
2.生活関連サービス業・娯楽業:46.8%
映画館や遊園地などで働くスタッフは、土日祝日に出勤することが多いです。特にイベントや大型連休は、朝から夜までシフトが入ることもあり、仕事とプライベートのバランスを取るのが難しくなります。さらに、お客さんとのやりとりで気を使ったり、トラブル対応で精神的に疲れることも多く、負担が大きくなりがちです。
3.教育・学習支援業:45.9%
先生や塾の講師は、授業だけでなく準備や会議にも時間を取られ、長時間働くことが多いです。文部科学省の調査では、教員の平均残業時間は月約45時間と報告されています。特に新人教師は経験が少なく、プレッシャーを感じやすいです。周りのサポートが十分でないと、精神的に追い詰められてしまうこともあります。
4.医療・福祉業:38.3%
看護師や介護スタッフは夜勤や早朝勤務が多く、体力的にきついです。加えて、患者さんとのコミュニケーションで気を使い、時には命に関わる緊張感も伴います。給与が安定していても、労働の大変さと見合わないと感じる人も多いです。
5.サービス業(他に分類されないもの):37.9%
派遣会社やビル清掃、警備、廃棄物の処理など、さまざまな仕事がこの業界には含まれます。例えば、ビル清掃は早朝や夜の作業が多く、体力的にきついです。警備の仕事も長時間立ちっぱなしや夜勤があり、心身への負担が大きくなります。
さらに、サービス業(他に分類されないもの)の平均月給は約25万円とされており、収入が比較的低いことも課題です。
これらの仕事は、長時間労働や夜勤、体力的な負担、あるいは給与やキャリアアップの機会が少ないことで離職率が高くなっています。



ストレスが大きいのに、報われにくい業界が多いですね・・・!
参考(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00007.html)
(令和4年民間給与実態統計調査:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2022/minkan.htm)
(教員勤務実態調査(令和4年度):https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01232.html)
離職率が高い業界に共通する4つの要因とは?
離職率が高い業界には、共通した理由があります。特に新卒の人が早く辞めてしまう原因を知ることは大切です。ここでは、その原因を簡単に説明していきます。
顧客対応の多いBtoC業界
BtoC業界(小売店や飲食店など)は、お客さんとたくさん接するため、顧客対応が仕事の大部分になります。クレーム対応や細かいリクエストが多く、そのたびにストレスを感じることもあります。お客さんからの厳しい要求やトラブル対応も、大きなプレッシャーとなり、こうした状況が続くと、仕事が辛くなり、離職を考える原因になります。
残業や週末出勤が多い
サービス業や飲食業などでは、営業時間が長くて残業や週末出勤が多いことがよくあります。たとえば、レストランのスタッフは、お客さんが帰った後に片付けや次の準備があるため、帰る時間が遅くなりがちです。これが続くと疲れがたまり、プライベートの時間も少なくなって、働き続けるのが難しくなります。
他業界よりも給与が低い
仕事の大変さに対して給料が少ないと、「これではやっていけない」と感じる人が増えます。例えば、宿泊業や介護の仕事は忙しいのに、他の業界に比べて給料が低いことがよくあります。収入が少ないと生活に不安が出て、仕事へのやる気が下がり、結果的に辞めてしまう人が多くなります。
教育体制がしっかりしていない
新人研修やサポートが少ない職場は、新しく入った人にとって大きな不安になります。ほとんど教えてもらえずに仕事を任されると、ミスが増えたり、ストレスがたまりやすくなります。先輩からのフォローやアドバイスが少ないと、新人は仕事に自信を持てず、早く辞めてしまうことが多くなります。
離職率が高いとどうなる?企業への3つの悪影響
社員がたくさん辞めてしまうことは、単なる人手不足だけでなく、会社全体の運営にマイナスをもたらす原因にもなります。ここでは、離職率が高いと企業にどのような影響があるのかをわかりやすく説明します。
1.社内の雰囲気が悪くなる
人がたくさん辞めると、残った社員に負担がかかり、全体のやる気が下がってしまいます。たとえば、仕事を引き継ぐことが多くなり、チームの一体感がなくなることも。
これが続くと、職場の雰囲気がギスギスして働きにくくなります。
2.人材のコストが増える
社員が辞めると、新しい人を採用して育てるために費用がかかります。求人広告や面接、入社後の研修などがその例です。また、新しい人が慣れるまでの間は生産性が下がるので、その分のコストも増えます。これが何度も続くと、会社のお金がどんどんかかってしまいます。
3.会社の評判が悪くなる
離職率が高いと、「この会社は働きにくいのかも」と思われるようになってしまいます。ネットの口コミや社員の声は、就職を考えている人や取引先にも影響するので、評判が悪いと、採用に力を入れても優秀な人材が集まらなくなり、ビジネスのパートナーやお客さんの信頼まで失ってしまうかもしれません。



辞める人が増える → 残った人の負担が増える → さらに辞める人が増える
という「負のスパイラル」に陥ることも・・・
新卒の離職率が低い業界TOP5
一方で、新卒が長く働きやすい業界にも、共通の特徴があります。ここでは、新卒の離職率が低い業界と、その理由をわかりやすく紹介します。
1.電気・ガス・熱供給・水道業:6.9%
離職率が最も低い業界は、電気・ガス・熱供給・水道業です。
この業界は、生活に欠かせないインフラを支えているため、景気に左右されづらく、安定していることが特徴です。
給与や福利厚生も充実していて、「毎月勤労統計調査」によると、2022年の電気・ガス業の平均月収はなんと45万9024円でした。
2.学術研究、専門・技術サービス業:17.0%
この業界では、研究職やコンサルタントなど、専門知識やスキルを活かせる仕事が多いです。新しいことを学び、自分の分野で成果を出せるとやりがいを感じます。仕事を自分のペースで進められることも多く、結果が出たときは達成感があります。専門性が高い仕事はキャリアアップにも役立つので、長く働き続ける人が多いのが特徴です。
3.製造業:17.3%
工場や生産ラインでの仕事は、勤務時間が決まっていてスケジュールが安定していることが魅力です。昇給の機会も多く、技術を身につけることで高いスキルが評価されます。完成した製品を見ると達成感を味わえるのも、仕事のやりがいにつながります。
4.建設業:18.0%
建設業は、建物や道路などのプロジェクトが完成したとき、「自分が関わった」という実感が湧きやすいのが特徴です。
資格を取ると給与が上がったり、仕事の幅が広がるため、キャリアアップのチャンスも多いです。体力が必要な面もありますが、それだけのやりがいを感じる人が多いのも事実で「自分の手で何かを作りたい」と長く続ける人が多いです。
5.情報通信業:18.5%
情報通信業は、ITやシステム開発の仕事が多く、スキルを磨きながら働けます。プログラマーやシステムエンジニアは、自分が開発したソフトやシステムが実際に使われることで、達成感を味わえます。
最近ではリモートワークを導入している企業も多く、働く場所や時間を選べて、自分に合った働き方を実現できるのも魅力です。「自由な働き方を求めたい」と考える新卒にとって、この業界は人気です。
長く働きたいと思える職場の特徴は?
働きやすい職場にはいくつか大切なポイントがあります。
- 評価・処遇制度が整っている
- 人材育成の取り組みがある
- コミュニケーションが円滑
- ワークライフバランスが取れている
公平な評価制度があると、社員は「自分の頑張りがしっかり認められている」と感じ、自然とやる気が湧いてきます。また、資格取得や研修のサポートが充実している職場では、スキルを伸ばしながら働くことができ、誰にでも気軽に相談できる雰囲気があれば、仕事で悩むことも少なくなります。
さらに、残業を減らしたり、休みが取りやすい環境だと、仕事とプライベートのバランスが取れ、心身ともに健康でいられます。こうした職場こそ、社員が「ここで長く働き続けたい」と感じる場所となるのです。
離職防止に役立つおすすめツール3選!
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引用元:https://www.lafool.co.jp/service/survey/
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Wevoxは、企業が社員のエンゲージメントを測定し、職場環境の改善をサポートするツールです。定期的に調査を行うことで、組織の健全度を可視化し、従業員の満足度を高めるアイデアを考えられます。
料金 | 月額利用料:50,000円~(規模や機能に応じて異なる) |
メリット | 設問がシンプルで回答率が高く、短時間で社員の声を収集できる データ分析がわかりやすく、マネジメントに活かしやすい |
【社内のコミュニケーション強化を目指すなら】Kakeai


Kakeaiは、職場で上司と部下のコミュニケーションをサポートするツールです。このツールは、1on1ミーティングの質を高めるためのヒントを提供し、話すべきトピックや質問例を提示することで、会話がスムーズに進むようにします。
また、進捗管理機能も備えており、目標の設定や達成状況を確認できるため、部下の成長をサポートしてくれます。
料金 | 要お問い合わせ |
メリット | 1on1ミーティングで話すべきトピックや質問例を提示し、対話をサポート 対話内容やフィードバックを分析し、組織全体の課題を見つけてくれる |
まとめ
この記事では、新卒が3年以内で辞めやすい業界トップ5やその理由、離職率が高いと企業にどんな影響があるのか、また、そして離職率を下げるための4つのコツについて詳しく解説しました。
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、令和3年3月に卒業した大卒者で、3年以内の離職率が高かった業界TOP5は以下の通りです。
- 宿泊業・飲食サービス業:48.7%
- 生活関連サービス業・娯楽業:46.8%
- 教育・学習支援業:45.9%
- 医療・福祉業:38.3%
- サービス業(他に分類されないもの):37.9%
このような、離職率が高い業界には共通の理由があります。BtoC業界では、顧客対応が多く、クレームやトラブル対応でストレスを感じやすいです。また、サービス業などは残業や週末出勤が多く、疲れがたまりプライベートの時間も少なくなりがちです。
このような環境にもかかわらず、他業界と比べて平均給与が低い傾向にあり、「割に合わない」と辞める人が多いです。
これを防ぐためには、職場環境の改善が不可欠です。まず、労働時間を見直したり、休日をしっかり確保する必要があります。また、公平な評価制度を整えたり、スキルアップのサポートを充実させることで、社員のモチベーションを上げることができます。
また、この記事では、離職防止に役立つおすすめ福利厚生サービスについてもご紹介しました。たとえば、ラフールサーベイは、社員のメンタルヘルスや職場環境をチェックできるサービスで、これを使うと、職場の課題を見つけて改善しやすくなり、社員が安心して働けるようになります。匿名で回答できるので、社員は本音を話しやすく、会社もリアルな意見を受け取れます。
社員の定着率を上げることは、単なる人材を維持するだけでなく、会社全体の運営にも大きく影響します。ぜひ、この記事を参考にして、職場の改善や社員の定着率アップに役立ててください。